秋の夜長に『星を継ぐもの』

秋の夜長にSF小説でもいかがでしょうか。
夜空を見上げてロマンあふれる空想にふけってみませんか。

『星を継ぐもの』 ジェ-ムズ・P.ホ-ガン
東京創元社 735円

月面から人間の遺体が発見され、それだけでも驚きなのになんとその遺体は5万年前のものだった。5万年前というと地球上ではクロマニョン人が栄えた旧石器時代。文明以前のそんな時代にどうやって人間が月へ行ったのか?遺体は地球人なのか?はたまた異星人か?多くの科学者を巻き込んで白熱の議論が始まる。

この小説は手に入るだけの物証を元に科学者たちの検証で物語が進みます。少ない物証の中で宇宙に普遍の物理学、数学を駆使して謎を解いていきます。その辺りの展開は理系じゃなくても、引き込まれる面白さがあります。この点でいえばこの小説はSFでありながらミステリーでもあるといえるでしょう。

最後の謎解きは少し無理があるのではないかと思う部分もありますが、地球に生命が誕生したことを奇跡と考えればありえない話でもないです。宇宙へのロマンあふれる空想が広がる一冊です。続編もありますよ。