瑞々しく心を打つエッセイ集 星野道夫『旅をする木』

アラスカの原野に生きた写真家、星野道夫のエッセイ集です。こんなにも心を打つ本に出逢えるとは幸せなことだと思います。星野さんの文章が瑞々しく美しく、流れるように入ってきて心にアラスカの大地が広がります。

日々忙しく働いていてもアラスカの原野で起こっている「もうひとつの時間」を心の片隅に意識できるのとできないのとでは天と地ほどの差があると星野さんは言います。自分にとって心の片隅に意識できる風景ってなんだろうかと考えさせられました。

読みながらこの人はもうこの世にいないんだと思うと泣けてきて、さらに文章に重みが増してくるのです。全33編あり1編は数分で読めます。忙しい日々の中、一読の価値ある本です。